JR東日本
目次

JR東日本 旅の彩150選

ABOUT TABINO IRODORI

旅の彩150選コラム

TABINO IRODORI COLUMN TABINO IRODORI COLUMN

vol.04 
長く愛されるおみやげの
デザインに注目!

定番として長く慕われ続けるおみやげは、そのデザインも魅力的! 名品を包んできたパッケージには歴史や努力、遊び心、そして変わらぬ想いが宿ります。「いただきます」をする前に、ちょっと鑑賞してみませんか。

江戸時代の「亀戸天神社」へ
お花見タイムスリップ!

もっちりとした食感に黒蜜・きなこのコンビが加わり、心がやすらぐ和のおやつ「元祖くず餅」は東京の下町・亀戸のおみやげです。亀戸天神社すぐそばに本店を構える「船橋屋」の名品は、いつの時代も旅人に寄り添ってきました。

華やかな特箱は手で持ち上げてみるとずっしりと重く、早くも期待が募りますが、愛しの台形とご対面を果たす前に、包み紙を鑑賞しないのはもったいない! 「船橋屋」の物語を読み解けるパッケージとなっています。

目に飛び込んでくる和の色彩が美しい浮世絵。これは江戸後期に活躍した浮世絵師・歌川広重が描いた「亀戸天神境内」で、『名所江戸百景』という絶景を集めたシリーズ作品の1枚です。

描かれているのは半円形が見事な太鼓橋と藤の花。これを一目見ようと亀戸天神社には江戸期から人々が集まりました。この人気ぶりに目を付けたのが「船橋屋」初代、勘助さん。ご出身は現在の千葉県船橋市です。ここ亀戸天神社で地産地消のお菓子として小麦を使った商いを思いつき、小麦澱粉をせいろで蒸して、黒蜜ときな粉をかけた餅を売り出したのが「船橋屋」のはじまりでした。そんなエピソードがあると聞けば、太鼓橋の向こう側に描きこまれた江戸のお客さんも、今と同じようにくず餅を楽しんでいたのかも、なんて思わずにはいられません。

JR東日本おみやげグランプリ 2017年 部門賞 お菓子部門 銀賞
元祖くず餅/東京都・船橋屋

くず餅特箱の写真

歌川広重が描いた浮世絵が印象的なパッケージ。
くず餅特箱60切れ 1,580円(税込)

ネコのイラスト

いつの時代も変わらない
「シウマイ」パッケージの魅力!

横浜名物として名高い「昔ながらのシウマイ」。「崎陽軒」の名とともにすっかり知られているおみやげは、1908年(明治41年)に創業したお店のもの。横浜駅の中でスタートした小さなお店ですが、シュウマイを売り出したのは、1928年(昭和3年)になってから。横浜中華街にあやかり「冷めてもおいしい」シュウマイを売り出したのがはじまりでした。

横浜駅は東京駅に近く、“駅弁気分”が高まりにくい立地ゆえに、横浜名物を生みだそうとした「崎陽軒」の企業努力から誕生したもの。そのスピリットはパッケージにも表れています。龍がぐるりと回り込み、力強く「シウマイ」をアピールし、異国情緒をしっかり盛り上げます。「横浜」の表記に「濱」と「濵」の二種類の旧字が使われているのもクラシカルです。パッケージデザインは昭和3年の発売から今に至るまで、ほとんど同じデザインの物が使われてわれています。

ちなみに、崎陽軒ではシュウマイではなく「シウマイ」が正解。当時の社長のなまりと、中国の焼売の発音が似ていたため、採用されたそうです。そっと口にしたくなるような、かわいらしい表記はすっかり定着しました。

包装紙をはがし、ふたを開けて「シウマイ」をいただくとき、出合うのは小さなしょう油入れ。愛称はひょうちゃん。昔からたくさんの旅人を和ませてきたニクイ奴は全48種。今日も誰かの旅にお供します。

JR東日本おみやげグランプリ 2017年 特別賞 出張時に買いたいおみやげ
昔ながらのシウマイ/神奈川県・崎陽軒

昔ながらのシウマイ 現在のパッケージ

現在のパッケージ。
昔ながらのシウマイ15個入/620円(税込)

昔ながらのシウマイ 昭和30年代のパッケージ

昭和30年代のパッケージ。
現在よりも龍が力強い線で描かれている。

ひょうちゃん

現在のひょうちゃんは三代目にあたる。

やさしい黄色の風合いが懐かしい

福島県郡山市のお菓子メーカー「三万石」の看板商品「ままどおる」。バターを使ったソフトな生地でミルク味のあんを包んだ焼き菓子です。「ままどおる」を作る「三万石」の創業者・池田惣助さんは「技術の前に良質な原料あり」と唱え、良質な材料はおいしく、体にもやさしいと考えていました。

誕生したのは1967年(昭和42年)。当時はまだ少なかった洋菓子のおみやげとしてスタートしました。「まま、まま、ままどおる~、ミルクたっぷりママの味~」のご当地CMソングとともに福島に根付いた「ままどおる」は福島県民や観光客の手によって徐々に全国区へ。発売から50余年が経った現在は、「ずっと変わらないやさしい味わい」のキャッチコピーの通り、懐かしさを感じるお菓子として親しまれています。

「ままどおる」とはスペイン語で「お乳を飲む子」というイメージで付けられたそう。その名の通り、お母さんが小さな子どもを愛おしそうに抱っこしているイラストが印象的。包み紙にはデンマークやフランスなど、世界各国の親子のイラストが並びます。どの国もお母さんが子を膝の上で抱っこしていたり、胸元に抱き寄せていたり、手をつないでいたりと、子どもを慈しむ姿が描かれています。「ままどおる」に詰まっているのは、いつの時代でも、どこの国でも変わらない、普遍の愛なのでしょう。

大切な人に贈りたくなる、そんなやさしいデザインです。

JR東日本おみやげグランプリ 2020年 エリア賞 南東北エリア銀賞
ままどおる/福島県・三万石

ままどおる12個入りパッケージ

現在のパッケージ。
ままどおる12個入り/1,500円(税込)

ままどおる 個包装

ままどおる 個包装

おみやげには、味わうのはもちろん、見る楽しみも詰まっています。旅先の景色を愛でるように、名パッケージを愛でるのも旅のお楽しみになります。地元で長く愛されるおみやげの魅力を再発見してみてください!

トップページへ戻る