ライター:桜木 健(現役東大生コーチ / 逆転合格コンサルタント)
偏差値35から2年で東大理科一類に現役合格。自身の経験と脳科学・認知心理学に基づいた「逆転合格メソッド」で、多くの受験生の悩みを解決。頼れる兄貴分として、科学的根拠に基づいた効率的な勉強法やモチベーション維持の秘訣を発信中。
「部活でクタクタ。家に帰ったら、勉強なんて無理…」
「勉強も大事だってわかってるけど、部活だって手を抜きたくない!」
中学生の皆さん、こんな熱い想いと現実の板挟みになって、一人で悩んでいませんか?
こんにちは!現役東大生の桜木健です。何を隠そう、僕も中学・高校時代はバスケ部に所属し、本気で県大会出場を目指していました。毎日泥だらけになるまで練習し、家に帰ったらバタンキュー。勉強なんて、正直二の次でした。当然、成績は下がる一方で、中学2年生の時点では偏差値35。当時の僕は、「部活をやってるんだから、勉強時間が取れないのは仕方ない」と、自分に言い訳をしていました。
でも、あることに気づいたんです。「時間がない」んじゃない、「時間の作り方」を知らないだけなんだ、と。
その日から、僕は「スキマ時間」の徹底的な活用を始めました。通学の電車、友達を待つ5分、寝る前の10分…。それらをかき集めて勉強に充てた結果、僕の成績は面白いように上がり始め、部活でレギュラーとして活躍しながら、現役で東京大学に合格することができたんです。
この記事では、部活と勉強、どちらも諦めたくないと願う君のために、僕が編み出した「スキマ時間を最大活用する3つのコツ」を伝授します。これは単なるテクニックではありません。君の「時間がない」という思い込みを破壊し、日常に隠された膨大な時間を掘り起こすための、思考の革命です。
もし、君が今、本気で両立を目指しているのなら、この記事が現状を打破する「最強の武器」になるはずです。さあ、一緒に「スキマ時間の錬金術師」になるための第一歩を踏み出しましょう!
目次
なぜ君はいつも「時間がない」と感じてしまうのか?
「時間がない、時間がない」
これが、部活に打ち込む君の口癖になってはいないでしょうか? でも、本当にそうでしょうか。
実は、パナソニックが行った調査によると、現代人が無駄にしていると感じるスキマ時間は、1日平均でなんと「1時間9分」もあるという衝撃的なデータがあるんです[1]。
1日1時間9分。1週間なら約8時間。1ヶ月なら30時間以上です。これだけの時間があれば、一体どれだけのことができるでしょうか?苦手な数学の問題集を1冊終わらせることも、英単語を数百個覚えることだって可能なはずです。
そう、君に時間がないのではありません。日常の至る所に散らばっている「宝物」のような時間に、気づいていないだけなんです。
僕の周りの東大生にも、部活で全国レベルの成績を収めながら合格した友人が何人もいます。彼らに共通しているのは、例外なく「スキマ時間の使い方が神がかっている」ということです。彼らは、意識的にも無意識的にも、5分や10分といった短い時間を勉強のために活用する「スキマ時間の錬金術師」なんです。
問題は、その「宝物」をどうやって見つけ、どうやって使うか。ここから、その具体的な方法、3つのコツを徹底的に解説していきます。
コツ1:君の日常に隠された「宝」を探せ!スキマ時間ハンティング術
最初のコツは、君の日常に隠された「宝物」、つまりスキマ時間を見つけ出す「ハンティング術」です。これは3つのステップで進めます。
ステップ1:まずは敵を知る!自分の24時間を「見える化」する
何事も、まずは現状把握から。君が「なんとなく」過ごしている1日を、徹底的に「見える化」します。
やり方は簡単。ノートやスマホのメモ帳に、3日間、自分の行動を記録するんです。「朝7:00起床」「7:15〜7:30 朝食」というように、15分単位で、何に時間を使ったかを正直に書き出してみましょう。
面倒くさい? そう思うかもしれません。でも、この作業をやるだけで、君は衝撃の事実を目の当たりにするはずです。「スマホをダラダラ見てる時間がこんなに…」「移動時間って、合計すると結構長いな…」など、無意識に浪費していた時間がゴロゴロ見つかるからです。
これが、スキマ時間ハンティングの第一歩。まずは敵(=自分の時間の使い方)の正体を丸裸にするんです。
ステップ2:スキマ時間を「分類」し、名前をつける
行動記録で「宝のありか」がわかったら、次はその宝物に「名前」をつけていきます。名前をつけることで、漠然としていた時間が「活用すべき具体的な時間」として意識に上るようになるからです。
| スキマ時間の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 移動タイム | 通学の電車やバス、徒歩の時間 |
| 待ち時間タイム | 友達を待つ時間、授業が始まる前の5分間、病院の待合室 |
| 食事タイム | 朝食・昼食・夕食の時間(特に一人で食べる場合) |
| お風呂タイム | 湯船に浸かっている時間 |
| 就寝前タイム | ベッドに入ってから眠りにつくまでの時間 |
| CMタイム | テレビを見ている時のCMの時間 |
どうでしょう? こうして分類してみると、君の1日がいかに多くの「〇〇タイム」で満たされているかがわかるはずです。これらの時間は、全て勉強時間に変換できる可能性を秘めた、まさに「宝の山」なんです。
ステップ3:「やるべきこと」を事前に決める「タスクの予約」
宝の山を見つけ、名前をつけたら、いよいよ最後の仕上げです。それぞれの「〇〇タイム」で「何をするか」を、あらかじめ決めておくんです。これを僕は「タスクの予約」と呼んでいます。
なぜ予約が必要なのか? それは、いざスキマ時間ができても、「さて、何をしようかな?」と考えているうちに、その貴重な時間が終わってしまうからです。
| スキマ時間 | 予約するタスク(例) |
|---|---|
| 移動タイム(電車15分) | 英単語帳のP10〜P15を3周する |
| 待ち時間タイム(5分) | 前日に間違えた数学の問題を1問だけ解き直す |
| 就寝前タイム(10分) | 歴史の教科書を2ページ読む |
ポイントは、「絶対に達成できる、超具体的なミニタスク」を予約しておくこと。「単語を覚える」ではなく、「単語帳のP10〜P15を3周する」と具体的に決めることで、迷わずタスクに取り掛かることができます。
この3ステップで、君の日常に埋もれていたスキマ時間は、具体的な勉強時間として生まれ変わるんです。
コツ2:脳をダマして自動化する!「If-Thenプランニング」の魔法
スキマ時間を見つけ、タスクを予約しても、「わかっちゃいるけど、ついスマホを見ちゃう…」という経験、ありますよね。そんな君に授けたいのが、科学が認めた最強の習慣化テクニック、「If-Thenプランニング」です。
科学が認めた最強の習慣化テクニック
これは、社会心理学者のハイディ・グラント・ハルヴァーソン博士らが提唱する方法で、目標達成率を2〜3倍に高める効果が証明されています[2]。
やり方は、驚くほどシンプル。
「もし(If)〇〇したら、そのとき(Then)△△する」
というルールを、あらかじめ自分の中で決めておくだけです。
「もし〇〇したら、△△する」と決めるだけ
例えば、こんな風に設定します。
| If(もし〜したら) | Then(そのとき〜する) |
|---|---|
| もし、朝の電車に乗ったら | そのとき、英単語アプリを開く |
| もし、夕食を食べ終えたら | そのとき、数学の問題集を1ページ開く |
| もし、ベッドに入ったら | そのとき、古典の単語を5つだけ見る |
たったこれだけです。バカバカしいと思うかもしれません。でも、この「事前ルール決め」が、君の行動を劇的に変えるんです。
なぜこれが効くのか? 意思決定のエネルギーを節約する
なぜ、If-Thenプランニングはこれほど強力なのでしょうか?
それは、行動の「引き金(トリガー)」と「実行内容」をセットにすることで、脳の意思決定エネルギーを節約できるからです。
僕たちの脳は、一日に使える意思決定のエネルギー量が決まっていると言われています。「よし、勉強するぞ!」と毎回気合を入れるのは、このエネルギーを大量に消費します。だから、疲れている時や誘惑が多い時には、ついつい楽な方(スマホを見るなど)に流されてしまうんです。
しかし、「電車に乗ったら、単語帳を開く」と事前に決めておけば、電車に乗った瞬間に、脳は考えることなく、半自動的に単語帳を開くようになります。歯磨きをするのに、いちいち「よし、歯を磨くぞ!」と気合を入れないのと同じです。行動が「習慣」のレベルにまで落とし込まれるんです。
このテクニックを使えば、君は意志の力に頼ることなく、スキマ時間を自動的に勉強時間に変えていくことができるようになります。
コツ3:5分を「黄金の時間」に変える!ワン・スキマ=ワン・タスクの法則
最後のコツは、見つけ出したスキマ時間の「質」を最大化するための心構え、「ワン・スキマ=ワン・タスク」の法則です。
「あれもこれも」はNG!欲張らない勇気
スキマ時間を見つけ出すと、多くの生徒が「この5分で単語も覚えて、数学の問題も解いて…」と、つい欲張ってしまいます。その気持ち、痛いほどわかります。でも、それが挫折への最短ルートなんです。
短い時間にあれもこれもと詰め込もうとすると、脳はプレッシャーを感じて集中できません。結局、どれも中途半端に終わり、「やっぱりスキマ時間じゃ何もできないや」という無力感だけが残ってしまいます。
大切なのは、「欲張らない勇気」を持つことです。
1つのスキマ時間には、1つのタスクだけ
そこで君に徹底してほしいのが、この「ワン・スキマ=ワン・タスク」の法則です。
「1つのスキマ時間に取り組むタスクは、絶対に1つだけにする」
と、固く心に誓うんです。
「電車での10分間」というスキマ時間なら、「英単語帳のP20だけを完璧にする」という1つのタスクに全神経を集中させる。他のことは一切考えない。もし時間が余ったら、もう一度そのページを繰り返すんです。
この法則は、以前紹介した「ポモドーロ・テクニック」の考え方にも通じます。短い時間に一つのタスクに没頭することで、脳は驚くほどの集中力を発揮します。5分という短い時間でも、その質はダラダラ過ごす30分を凌駕するんです。
教科別「ワン・タスク」リスト
具体的にどんなタスクを設定すればいいのか、教科別の例を挙げておきましょう。これを参考に、君だけの「ワン・タスク」リストを作ってみてください。
| 教科 | スキマ時間(5〜10分)でできる「ワン・タスク」例 |
|---|---|
| 英語 | ・単語帳を1ページだけ、完璧に覚える(アクティブ・リコールで確認) ・教科書の本文を1パラグラフだけ音読する ・文法の問題集を1問だけ解き、解説を完全に理解する |
| 数学 | ・計算問題を3問だけ解く ・前日に間違えた問題の解法を、何も見ずに再現してみる ・公式を1つだけ、導出過程も含めてノートに書いてみる |
| 国語 | ・漢字を5つだけ、意味と例文も含めて覚える ・古文単語を3つだけ覚える ・教科書の文章の要約を3行で書いてみる |
| 理科・社会 | ・一問一答形式の問題集を2ページだけ進める ・教科書の図やグラフを1つだけ選び、その意味を説明してみる ・歴史の年号を5つだけ、関連する出来事とセットで覚える |
このリストのポイントは、全てが「インプット」と「アウトプット」をセットにしていることです。ただ覚えるだけでなく、「思い出せるか」「説明できるか」というアウトプットを意識することで、5分という短い時間でも、知識は確実に脳に刻み込まれていきます。
まとめ:スキマ時間を制する者は、受験を制す
どうだったでしょうか?
今回伝授した、スキマ時間を最大活用するための3つのコツ。もう一度、確認しておきましょう。
- スキマ時間ハンティング術:自分の24時間を「見える化」し、隠れた時間を見つけ出し、「タスクを予約」する。
- If-Thenプランニング:「もし〇〇したら、△△する」というルールで、勉強を自動化・習慣化する。
- ワン・スキマ=ワン・タスクの法則:1つのスキマ時間には1つのタスクだけ。欲張らず、集中力の質を高める。
部活に本気で打ち込む君は、すでに他の人にはない「集中力」と「忍耐力」という、とてつもない武器を持っています。その武器を、今回手に入れた「時間の使い方」という新しい武器と組み合わせた時、君は最強になれる。
部活も勉強も、どちらかを諦める必要なんて全くありません。むしろ、部活で培った集中力があるからこそ、短い時間で驚くほどの成果を出すことができるんです。
時間は、誰にでも平等に24時間しか与えられていません。しかし、その「中身の濃さ」は、君の意識と工夫次第で、いくらでも変えることができます。
この記事を読み終えた今、君はもう「時間がない」と嘆く自分とはサヨナラです。
さあ、今日から君も「スキマ時間の錬金術師」だ!
日常に散らばる5分、10分という宝物をかき集め、君だけの輝かしい未来を、その手で創り上げていってください。
君なら、できる。心から応援しています!
参考文献
[1] STUDY HACKER. (2023). 東大・京大卒も実践「スキマ時間」勉強術をやってみた。大切なのは「○○化と事前準備」. https://studyhacker.net/free-time-study-method
[2] 東大生の頭の中. (2025). 【中高生必見】部活と勉強を両立する方法4選|東大生が教える時間活用術. https://www.toudain.com/entry/clubstudy-coexistence
